公費による先天性代謝異常等
検査に関するQ&A

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公費による先天性代謝異常等検査に関するQ&A

Q 公費による先天性代謝異常等検査は何回受けられますか?

子ども1人につき、検査は原則1回です。
要再検査児、低出生体重児、哺乳不良児のみ再採血を依頼します。

Q 公費による先天性代謝異常等検査を行う時期はいつですか?

日齢4~6日目(出生日を0日とする)に採血を行ってください。
低出生体重児および哺乳不良児は、下記に示す時期にもう一度採血を行ってください。
なお、要再検査の結果が届いた際には、下記時期に関わらず直ちに再採血を実施してください。

① 出生体重が2000g未満の低出生体重児

原則として初回の採血を日齢4~6日目に行ってください。後日、本会から初回の検査報告書および「低体重2回目」用の申込書兼採血ろ紙(個別シール付)を送付しますので、
1)生後1ヵ月
2)体重が2500gに達した時期
3)医療施設を退院する時期
いずれか早い時期に1回再度採血を行ってください(最長で生後1ヵ月です)。

※画像をクリックで拡大します

「低体重2回目」用の申込書兼採血ろ紙(個別シール付)イメージ


② 哺乳が十分量摂取されていない児

原則として初回の採血を日齢4~6日目に行ってください。後日、本会から初回の検査報告書および「哺乳不良」用の申込書兼採血ろ紙(個別シール付)を送付しますので、その用紙を用いて再度採血を行ってください。

※画像をクリックで拡大します

「哺乳不良」用の申込書兼採血ろ紙(個別シール付)イメージ

出生直後から先天性代謝異常等を疑う症状を呈する新生児(ハイリスク新生児)について

ハイリスク新生児に該当する異常所見が見られた際は、早期に臨時採血を行うことを推奨いたします。本会ではこの検査を有償で行っています。
その後、日齢4~6日目に通常の先天性代謝異常等検査の採血をして本会にお送りください。

ハイリスク新生児の分析依頼についてはこちら

Q 申込書(先天性代謝異常等検査申込書兼採血ろ紙)の記入で注意する点はありますか?

申込書の記入例


【申込書注意事項】
(1)フリガナ欄は氏と名の間を1マス空け、濁点・半濁点つきの場合でも1マスに記入してください。
(2)児氏名欄は決まっている場合、名前のみご記入ください。双子以上の場合は児氏名を必ずご記入ください(決まっていない場合はイツシ、ニシ・・・と記入)。
(3)字句を間違った場合には、必ず二重線を引いて改めてご記入ください。
(4)黒ペンでご記入ください。
(5)太枠内は検査を受けることへの同意を兼ねるため、必ずご本人あるいはご家族の方がご記入ください。
(6)申込書は1枚目(検査機関送付用)のみ提出してください。

抗生剤使用の記入について

抗生剤を児に使用した場合は、2(有)と記入してください。特に児または母親がピボキシル基含有抗菌薬を使用した場合、偽陽性となる可能性がありますのでご注意ください。

哺乳状況の記入について

哺乳量は採血医療機関の判断で1:良、2:不良、3:極めて不良を記入してください。
参考文献として、日本マススクリーニング学会雑誌,9(2),81,1999:市原 侃 をご参照ください。

Q 採血の正しい方法を教えてください。

「乾燥ろ紙血液検体作成の方法と注意点」の動画

基本とされる採血手順を以下に示します。

  1. 採血セットを用意する。
    採血ろ紙・消毒用アルコール綿・採血器具(専用のランセットが望ましい)・滅菌ガーゼ・絆創膏
  2. 採血は哺乳後2時間前後の沐浴後が望ましい。
    (沐浴ができない場合は、採血部位を温タオルで3~5分加温する)
  3. 採血は一般的に足底の外側部に行う。(図1)
    (足底の内側部・手背静脈も使用される場合がある)
  4. 消毒用アルコール綿で採血部位を消毒し乾燥させる。
  5. 採血部位をランセットで2~3mm穿刺する。
    (利き手と逆の手で足関節を固定し利き手で穿刺する)
  6. 最初の一滴は滅菌ガーゼで拭取る。
  7. 穿刺部から滴下する血液をろ紙に印刷された円の点線を少しはみ出すように、1回でろ紙の裏面まで十分しみこませる。(図2)
  8. 採血後、滅菌ガーゼで止血し絆創膏を貼る。
  9. 採血後のろ紙は汚染しないよう取扱い、ろ紙を水平に保持し室温で2~3時間自然乾燥させる。
    (直射日光の当たる場所や高温多湿の場所は避ける)
  10. 乾燥後は専用の封筒に入れ、採血後24時間以内に郵送する。
図1
図2
おもて


うら
参考資料: 日本マス・スクリーニング学会誌 8(2):24-27,1998
日本マススクリーニング学会ホームページ(http://www.jsms.gr.jp

Q 採血時に注意することはありますか?

採血方法によっては後遺症を残したり、測定結果に影響を及ぼすことがあります。特に以下の事項にご注意ください。

採血時の後遺症について

  • 穿刺の際に踵(かかと)の後部および中央部や踵骨で採血を行わないでください。踵骨骨髄炎・深部血管や神経損傷・歩行障害などの合併症の恐れがあります。

測定結果への影響について

  • ろ紙部分を素手で触れないようお取り扱いください。
  • 消毒にヨードチンキなどの消毒薬を使用したり、ステロイド軟膏をつけた手でろ紙を取り扱うことはおやめください。
  • ろ紙に印刷された円に2度づけをせず1回で十分量をしみこませてください。
  • 抗凝固剤を含んだ血液はPCR検査への影響(偽陽性)が懸念されるため、血液ガス分析検査用のヘパリン処理された毛細管などの使用はお避けください。

Q 採血が上手くいきませんでした。この検体を送ってもいいですか?

採血量が足りず、ろ紙の裏まで血液がしみ通っていない場合や、広範囲に汚染が認められた場合には検査が実施できません。採血状態の悪いろ紙は破棄し、改めて採血をお願いします。
また、血液を何度も塗り付けたり、表裏から塗っている場合、測定値が高くなり要再検査になる場合があります。

採血状態が悪い例

<血液量不足>

おもて
うら

<汚染・にじみ>

<多重塗り>

Q 採血したろ紙を出し忘れてしまいました。検査できますか?

採血した日から本会へ到着するまで、2週間以上経過すると、ろ紙血液中の微量成分が劣化している可能性があるため検査ができません。
改めて新しいろ紙に採血し、速やかに郵送してください。また、本会に到着した際に検査が実施できないと判明した場合、電話と結果報告書にてご連絡します。
なお、乾燥後のろ紙血は、遅くても採血後24時間以内に郵送するよう徹底してください。

Q 1780gの低出生体重児が初回検査で先天性甲状腺機能低下症の要再検査となりました。これ以降の結果はどのように報告されるのでしょうか?

以下の表で最終結果判定までの例を説明します。
児が低出生体重児(出生体重2000g未満)の場合、①初回検査報告書見本は、先天性甲状腺機能低下症「要再検査」、その他の疾患は「判定保留」と報告されます。
2回目の採血検体は、先天性甲状腺機能低下症での要再検査検体として取り扱います。
その結果は、②再検査報告書見本に示すように、先天性甲状腺機能低下症の判定がされ、その他の疾患は「判定保留」のままとなります。
その後、3回目に採血いただいた低体重2回目検体によって最終判定がされます。

採血回数 検体種別 先天性甲状腺機能低下症 その他の疾患 判定
1回目 初回検体 要再検査 判定保留 要再検査*
①初回検査報告書見本
2回目 要再検査検体 正常 判定保留 判定保留
②再検査報告書見本
3回目 低体重2回目検体 空白(表示なし) 正常 正常
③低体重2回目報告書見本

※要再検査の結果が届いた際には、低体重2回目の採血時期を待たずに直ちに要再検査検体を送付してください。

Q 要再検査と要精密検査の違いを教えてください。

先天性代謝異常等検査では、疾患のある新生児を見落とさないように、検査結果を3つのレベル(①正常②要再検査③要精密検査)に分けて判定しています。

要再検査とは、検査数値が目安となる基準値を超えている場合に再度検査をして「1回目の検査数値を確認」するための検査です。
要再検査で異常がなければ正常と判定されますが、1回目の数値と変わらない場合や上昇している場合には要再検査または要精密検査となります。

要精密検査とは、「すぐに精密検査実施医療機関で検査をする必要がある」という意味です。精密検査実施医療機関でさらに詳しい検査を行った結果、正常と判断される場合も少なくありません。しかし、先天性代謝異常等検査で発見される疾患のほとんどが早期の医療介入によって予後が良好となるため、なるべく早く精密検査実施医療機関への紹介をお願いしています。

Q 精密検査となった場合、採血医療機関はどのように対応したらいいですか?

精密検査が必要と判断された場合、本会から採血医療機関に電話と結果報告書で、疑われる疾患や検査数値および区市町村から発行される乳児精密健康診査受診票についてご案内しますので、採血医療機関からは保護者に対し、速やかに精密検査実施医療機関を受診されるようご案内をお願いします。

乳児精密健康診査受診票の取得について

区市町村から発行される乳児精密健康診査受診票は、対象児が都内に居住している場合発行されます。保護者に対しては、居住している区市町村の母子保健担当窓口に問い合わせして、発行場所を確認してから本受診票を取りに行くようご説明ください。

本会から郵送する精密検査に関わる書類について

「精検依頼書在中」と印字された黄色の封筒に精密検査に関わる書類が同封されています。
本封筒がお手元に届いた際は速やかに開封して中身をご確認ください。



※画像にカーソルを合わせると拡大表示します

  1. 先天性代謝異常等検査報告書(医療機関用)・(保護者用)
    本報告書には、医療機関用と保護者用がミシン線で繋がっていますので切離してください。下部の保護者用をお渡しいただき、母子手帳に保存するようご指導ください。
  2. 先天性代謝異常等検査報告書(精検機関提出用)
    本報告書には、疑われる疾患や検査数値が記載されています。保護者には精密検査実施医療機関の担当医に提出するようご指導ください。
  3. 先天性代謝異常等健診の主な専門治療機関
    東京都で精密検査を実施可能な医療機関が記載されています。内分泌疾患や代謝異常症を専門に治療する医療機関もございますので参考にご覧ください。
    なお、免疫不全症・小児神経疾患の精査医療機関一覧については準備中です。(2024年4月現在)
  4. 陽性基準
    東京都が対象とする先天性代謝異常等の対象疾患とその基準値が記載された一覧です。
  5. 精密検査実施状況の調査依頼
     精密検査対象者が適切に精密検査実施医療機関に受診したかを把握するための調査依頼です。本通知受領後1週間以内に、案内書類に記載のQRコード、もしくはURLより、本会ホームページ専用フォームにて必要事項を入力してください。
    ※本調査は厚生労働省子ども家庭局母子保健課長からの通知(子母発0330第2号 平成30年3月30日)に基づき、東京都との検査委託契約にしたがって実施しています。

2024年4月現在

Q 東京都の先天性代謝異常等検査の検査システムについて教えてください。

Q 東京都における先天性代謝異常等検査の担当部署を教えてください。

東京都における先天性代謝異常等検査の担当部署は、福祉局 子供・子育て支援部 家庭支援課 母子保健担当です。
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/taisyaijou.html
(上記リンクから、東京都先天性代謝異常等検査実施要綱をダウンロードすることが可能です)